「倭人は帯方東南の大海の中に居り・・・」。『魏志倭人伝』はこの書き出しで始まります。
倭人(日本人)は朝鮮半島の帯方郡から見て、東南の大海中に住んでいるというのです。
3世紀、倭国は東アジアの世界の一員として、中語王朝を中心とする国際舞台にようやく本格的に登場しようとしていました。当時、中国では北に曹操の魏、西に劉備の蜀、そして南には孫権の呉による分裂支配が進んでいました。
魏は蜀・呉の勢力を統制し、北方遊牧民族の鮮卑の脅威を除くため、朝鮮半島の勢力や東南海中の「倭」と、外交関係を結ぶ必要に迫られていました。